eSakeのパートナー
Overseas Partners
酒の伝道師たち
巡り会いは突然やってくる。2000年頃のドットコムブームの中で、ワインのインターネットビジネスを目指すいくつかのベンチャー企業との提携話が生れては消えていった。落
ち着くまで少し様子を見ようかと考えていたころ、今の米国側輸入総代理店、Vine Connections 社を紹介された。サンフランシスコに本社を置くワイン専門の輸入卸売業
者で、南米産のワインを扱って急成長しているという。ベイブリッジを見上げる港の埠頭に、倉庫兼事務所があった。会ってみると二人の若い共同経営者が、営業と内務を分
担して走り回っていた。小さい会社だったが、二人の真摯な姿勢と熱意に感じ入った。はじめから米国での戦略を非日本食のレストランと米国人の一般家庭で飲まれることを
ターゲットにしているeSakeとしては全米の流通業者へのフットワークが良く、願ったりの相手だ。即刻、提携の握手をした。
数ヶ月掛けて輸出入のインフラ整備や輸入許可証などの書類申請をしていた頃、営業担当のニックが、酒造りの現場を経験したいから大門の蔵へ行ってもいいか、という。そ
れは願ったりだと、二つ返事で了解した。彼の論理は明確だった。「自分はワインについてはプロだが、酒のことは全く知らない。これから売ろうとする相手の流通業者やレス
トラン経営者も知らない。知らないもの同士がディールするなどということは避けねばならないので、自分がまず勉強しに行く」2002年が明けた正月、彼は酒半の門の前に立っていた。
そのころ杜氏職を務めていた横道俊昭と蔵人のフィリップ・ハーパーもニックの意気に感じ入り、蔵の隅々までつれまわし、あらゆる作業を一緒にした。二人は言った。「彼は本気ですよ」ニックがあとで述懐する時、笑って「
あの五日間はヤツらの奴隷だった」というように、数日間の濃密な共同生活の中で信頼関係とお互いのプロとしての尊敬の念が芽生えていった。
その後、彼は全米を飛び回る日常的な営業活動の中で、着実に酒に興味を示す流通業者を組織し、流通する州も順調に増えていった。そしてその間、eSakeの伸張に時を合わせたよう
に、米国内での吟醸酒に対する認知度は上がっていった。「いよいよ次の酒伝道師を育てるときだ」。いいさけ蔵元会とVineconnectionsは全米から選りすぐった流通業者を
日本に招き、酒蔵を訪ねることにより、その世界を知ってもらうための訪問団を組織した。頭より、心で、蔵元が守ってきたものを知ってもらいたい。それをまた、次の人々に伝えて欲しい。
2004年3月8日。VC社のニックとエドが6人の参加者と共に成田に降り立った。「第一回日本酒蔵訪問研修団」の訪日の実現だ。それから一週間、岩手の南部美人、栃木の天鷹、大阪の酒半と、彼らの酒蔵巡礼は続いた。その
間、蔵の現場で早朝から酒造りの作業に参加したり、温泉で日本様式の寝起きを経験したり、また、相撲の稽古の見学、プロとしての利き酒の講習など、多彩なプログラムを
こなしていった。その間のエピソードはまた改めてお伝えすることにしよう。
訪問団を見送った後も残り、「これで酒の伝道師がまた増えた」と微笑むニックとエドに、蔵元たちがこのとこ
ろの輸出量の伸張振りにお礼を述べると、彼らは言った。「これくらいの量で喜ぶのはまだ早い。われわれの大きな成功の物語は、まだ始まったばかりだから」。力強いこの言葉に将来への希望が大きく膨らみ、胸が高鳴るのを感じた。

米国側輸入総代理店、Vineconnections社のリーマン氏とラムコフスキー氏 Ed Lehrman and Nick Ramkowsky of Vine Connections
 2004年春に酒半をお訪ねいただいた米国内流通業者酒蔵訪問団の皆さま。
2003年度の米国内販売数量のトップ6社のオーナーです。 Top USA Sellers in 2003 Click image for larger photo
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